【特定非営利活動法人にこまる】代表理事 廣中志乃さん

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インタビュー

医療の進歩により、救われる命が増え、医療的ケアが必要な子ども達も病院ではなく自宅で生活することが主流になっています。少子高齢化が進む日本において、地域社会の支え合いの重要性がますます高まっており、そこに対応する為に、障がい児支援や福祉サービスを地域に根ざして展開する『特定非営利活動法人にこまる』が注目を集めています。今回は、法人の代表を務める廣中志乃さんに、設立の経緯や運営理念、働く環境についてお話を伺いました。


特定非営利活動法人にこまる / 代表理事 廣中志乃
1975年三重県生まれ。柳城短期大学保育科卒業後、幼稚園勤務を経て結婚・出産。重症児の長男の育児経験をきっかけに、2013年に居宅介護事業所を創業し、放課後等デイサービスの事業も開始。2015年に特定非営利活動法人へ法人格を変更し、尾張旭市の市民活動団体として地域で面白がられる仲間づくりにも尽力。開業から10年を迎え、成長した子どもたちの未来を支える新たな事業展開を計画中。

法人を設立したきっかけについて教えてください。

私はもともと幼稚園教諭として幼児教育に携わり、障がい児支援の経験もありました。その後、結婚し出産した長男に重度の障がいがあり、母親として育児を行う中で、重症児を抱える親の大変さに気づき、2013年に営利法人として事業を始めたのですが、より子どもとお母さんを助けたいという想いが強くなり、2015年6月に特定非営利活動法人にこまるを設立しました。
現在、正職員10名、パート・アルバイト15名の計25名(2025年1月現在)で運営しており、児童福祉と障がい者福祉を主軸に活動しています。法人の形態を営利から非営利に変えたのは、『利益よりも地域のために活動したい』という想いがあったからです。事業継承の際には、これまでのサービスを維持しながら、より地域密着型の支援を強化しました。

運営において大切にされていることは何ですか?

私たちの理念は、『ワクワクする未来とつながる地域を、想像し創造する』というものです。障がいの有無に関わらず、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を目指しています。
そのための取り組みとして、子どもの支援だけでなく、親や兄弟も支える事をベースに、住みやすい地域をつくることを大切に考えています。さらにより地域に根ざす為に、通所者の受け入れ範囲は30分以内を目安としています。これは、障がいのある子どもが住み慣れた地域で育つことがとても大切だと考えているからです。実際、行政から『福祉サービスを受けるために引っ越しを』と提案されることもありますが、それは本来あるべき姿ではないと思うんです。
地域の中で子どもたちがのびのびと育ち、地域の人々とも自然に交流できる環境をつくることが、私たちの使命だと考えています。

職場の長所と雰囲気について教えてください。

にこまる職員の最大の強みはその質の高さだと思っています。子どもの気持ちを丁寧に汲み取り、引き出すことができますし、特に言葉でのコミュニケーションが難しい子どもたちに対して、しっかり寄り添う姿勢を大切にしています。
また、支援においては『本人第一主義』を徹底しています。もちろん保護者の意見も丁寧に尊重しながら、あくまでも子ども自身の意志を最優先することを心がけています。
職場の雰囲気は、とにかく明るい!職員同士の関係も良好で、来訪者にも積極的に挨拶し、温かい雰囲気を大切にしています。にこまるの理念として『応援団を増やす』ことを掲げていますので、地域の方々とも積極的に関わりながら、一緒に子どもたちの未来を支えていきたいと思っています。

働き方の工夫についてはいかがでしょうか?

にこまるでは、職員のワークライフバランスを大切にしています。週32時間勤務制度の導入や、有給休暇の消化率も管理職を除いて100%です。
子育て中の職員も多いので、子どもの急な体調不良にも対応できるように、休みやすい環境づくりも徹底しています。『休むことが特別ではなく、当たり前の文化にする』ことを意識していますね。
また、月1回の全体ミーティング後には懇親会を開きボードゲームをやったり、職員同士の交流を深める時間を設けています。職員が無理なく楽しく働ける環境をつくることが、より良い支援につながると考えています。

採用時に重視することや、研修制度などについてお聞かせください。

採用では、『理念に共感できるか』を最も大切にしています。面接では、『今までで一番感動したこと』や『最も頑張った経験』を質問させてもらい、応募者の価値観や主体性を見極めています。
また、にこまるでは研修制度も充実しています。資格取得を目指す人の支援を積極的に行い、外部研修への参加費用も法人が負担。それぞれが学んだ内容は職員全体で共有し、スキルの向上につなげています。
職員が学び続けることで、支援の質もどんどん向上します。『学ぶことが楽しい』と感じてもらえる環境をつくることが大切ですね。

趣味や休日の過ごし方について教えてください。

休日は家族との時間を何よりも大切にしています。美術館巡りやゴルフなど、家族と一緒に楽しめることを優先しています。ゴルフは娘が興味を持ったことがきっかけで始めましたが、今では家族全員の共通の趣味になりました。
また兄弟家族や親族と過ごすことも多いですね。兄の配偶者の実家まで訪問するほどの家族好きなんです(笑)。こうした家族との時間が、仕事のモチベーションにもつながっています。

最後に、廣中代表にとって『ハタラク』とはなんでしょうか?

私にとって『働くこと』とは、夢を持ち続けることです。
1日の大半を占める仕事の時間が充実していないと、人生そのもののバランスが崩れてしまいます。仕事は単なる収入を得る手段ではなく、いつまでも若々しく成長し、夢を持ち続けられる場所だと考えています。
今後も職員一人ひとりが働くことを楽しみながら、自分の夢や目標に向かって進んでいけるような環境をつくっていきたいですね。


廣中代表が大切にしている「働くことは夢を持ち続けること」という考え方は、にこまる全体に根付いています。職員がやりがいを感じながら成長し、支援を受ける子どもたちと共に歩んでいく。そんな温かく、活気のある法人の姿が印象的でした。地域に根ざし、未来を創造するにこまる。これからのさらなる発展に期待が高まります。


【特定非営利活動法人にこまる】

〒488-0824 愛知県尾張旭市西山町1丁目3-21
TEL. 052-799-9340
受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]
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