【株式会社モア・フーズ】代表取締役 長谷川久幸さん

Second Thumbnail
インタビュー

モスバーガーのフランチャイズ経営から始まり、現在は保育園、パーソナルジム、デザイン事業、自社ブランドカフェと幅広い分野へ展開する株式会社モア・フーズ。地域に根ざした“総合サービス業”として、常に新たな挑戦を続ける同社の代表の長谷川久幸さんに、会社の歩みや大切にしている価値観、そして『ハタラク』ことへの思いを伺いました。


株式会社モア・フーズ / 代表取締役 長谷川久幸さん
1982年愛知県春日井市生まれ。家業である株式会社モア・フーズで19歳からアルバイトを始め、名城大学経営学部卒業後、新卒で入社。店長時代にはチェーン内の全国表彰を経験。33歳で代表取締役に就任し、父の死をきっかけに「自分らしい経営」を模索。福利厚生に力を入れる方針を掲げ、2025年には自社ブランドを立ち上げる。「人と人との繋がり」を大切に、総合サービス業を通じて長期ビジョンの実現に向けて邁進をしている。

会社の歴史と概要について教えてください

当社の始まりは、1982年に父が小牧市でモスバーガーのフランチャイズを始めたことでした。私が17歳のとき、父が倒れ、母とともに事業を受け継ぎました。
正式に私が継承した後は、“福利厚生で突き抜けよう”という思いのもと、飲食に限らず、女性社員の終身雇用を守る仕組みとして、保育園や、社員が長く働ける健康づくりができるパーソナルジムを始めました。
また、店舗のロゴマークからコンセプトまで自社で形にすることができるように、デザイン事業へも事業領域を拡大し、2025年4月には、念願の自社ブランドのカフェ『フラベ』もオープンし、より地域に根差した運営を行政とも連携し挑戦を続けています。現在の会社の規模は、正社員が40名、パート・アルバイトが約300名在籍し、13の拠点で事業を展開しています。

会社運営で大切にしていることは何ですか?

当社の経営理念である「人・店づくりで笑顔をつなぐ」を大切にしています。この理念には、働く時間そのものを豊かにし、関わるすべての「人と人との繋がり」に価値を見出していく、という強い想いが込められています。
私たちの行なっている仕事は、AIやロボットでは代替できない“感謝”の交換ができる仕事。だから私たちは飲食業ではなく“フードサービス業”、保育も“保育サービス業”と呼び、働く意味の本質を見つめています。
そんな価値観にたどり着いたのは、先代である父の葬儀がきっかけでした。会場が人であふれ、警察が出動するほど多くの方が弔問に来てくださいました。モスバーガーという場所で食べ物を提供することはあくまで手法であって、本質的にはその仕事を通じて「人と人の繋がり」が深まっていくことがもっとも大切だと、葬儀の中で気付き、この理念が生まれました。
働いてくれる人たちには、仕事を通じて得られる仲間との絆や経験を、仕事のやりがいと共に感じてもらいたいし、人とのつながりこそが、自分が生きる中での生きがいだと思える集団でありたいと思います。モア・フーズはあくまでもその達成の為のフィールドとして、自分の人生の目標や目的を叶えるための場でありたいと思っています。
また、ユニークな取り組みとして、自分たちで数字と向き合い、未来を描く力を養ってほしいという思いから、経営指針書を社員自身で作るという取り組みも行なっています。経営指針発表会では社員が堂々と10年ビジョンを発表し、「こんな中小企業は珍しい」と参加した取引銀行からも驚かれますね。

会社の強みや長所は何ですか?

“つながり”を重視する当社を象徴する文化として、卒業を迎える大学生アルバイトを送り出す「追いコン」を行なっています。 長年勤めてくれたアルバイトに、後輩たちが手紙と花束を、会社からは時計を贈るという創業時から続く伝統があります。こうした文化があるからこそ、離職率も低く、長く勤めてくれる人が多いのではと思います。
さらに当社では、社員の独立も積極的に支援しており、新規事業は、立ち上げから社員が経営に携わり、将来的にバイアウトを前提に進められるケースもあります。
私の夢は、モア・フーズから社長が何人も生まれること。それが、この会社の”未来を育てる”ということ。そして社員さんたち自身の未来を共に同じ温度で育てていくことだと思っています。現在は、私自身が65歳での引退を見据えて、既に多くの事業を社員主導で動かしています。

会社の雰囲気や採用の際のこだわりについて教えてください

店舗によって雰囲気は様々ですが、良いチームのお店では、キャストさん(パート・アルバイト)が自然と新人に声をかけるなど良いコミュニケーションがとれていて、すごく人のつながりや人の輪を感じます。
社長である私と社員さんたちは、いかに現場のキャストさんたちにとって良いフィールドを作れるかということに熱を注ぎ、あくまでキャストさんたちと”同軸”にいると考え、敬語でコミュニケーションを取るほどにリスペクトを込めています。
採用では、一人ひとり、1時間ほどかけて面談しています。経営理念や、会社のフィールドでどう成長していけるかを丁寧にお話しします。入社後も年2回、全ての社員と個別面談を行い、キャリアの悩みや目標にしっかり向き合う体制を構築しています。

趣味や休日の過ごし方を教えてください

正直、趣味らしい趣味はあまりなく、仕事が趣味ですね。ただ、ゴルフは付き合いで行くこともありますし、最近ロードバイクも始めました。
社長という立場上、休日という概念があまりなく、家族と過ごす時間もありますが、やっぱり会社のことが気になります。第二創業の柱である自社ブランドを軌道に乗せることが、今の目標であり、熱中していることですね。
ただ、社員にも自分と同じように働いてほしいとは思っていません。自分の人生の軸で豊かに働けることが大事だと思っています。

最後に、あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?

私にとっての『ハタラク』とは、当社の理念そのものですね。人とのつながりを嬉しいと思えることが“働く”ということです。例えば高校生のアルバイトが、自分や焼いたハンバーグを目の前で食べたお客様が「おいしい」と笑顔になったのを見て、それが”働きがい”と実感できたなら、そういう事が働く意味になると思うんです。そんな価値を全ての社員が感じられる会社にしたいと思っています。
私たちは“つながり”を喜べる人と一緒に働きたいし、理念に共感できる人がモア・フーズというフィールドで輝けると思っています。お客様と社員のつながり、社員同士のつながり、そういったフィールドでのつながり、良いサービスを通じて生み出されたお客様同士の笑顔やつながり、そういったことに全ての社員が”働きがい”や”価値”を感じられる会社にしたいですね。
400人近いスタッフ全員が「働くってこういうことだよね」と同じ方向を見ている、そんな会社を目指しています。


「人と人との繋がり」を何よりも大切にし、飲食から保育、デザイン、自社カフェに至るまで幅広い分野に事業を展開する株式会社モア・フーズ。社員一人ひとりの人生に寄り添いながら、地域とともに成長を続けています。未来を描く力を育てる社風や、独立を応援する制度、心のこもった文化など、すべてに共通するのは人を大切にする姿勢。「つながりを喜べる人と一緒に働きたい」という長谷川さんの言葉には、これからの『ハタラク』を考えるうえでの大きなヒントが詰まっていると感じました。


【株式会社モア・フーズ】

〒486-0932
愛知県春日井市松河戸町1丁目5番地2
TEL. 0568-83-6262
FAX. 0568-93-6300
URL. https://www.moafoods.co.jp

<BREAD & CAFE フラべ>
〒486-0912
愛知県春日井市高山町2丁目33番1
TEL. 0568-70-5716
FAX. 0568-70-5706
URL. https://www.flave.jp
Instagram. https://www.instagram.com/bread_cafe.flave