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【特定非営利活動法人陽和 / 自立援助ホーム 陽和ハウス】 理事長 渋谷幸靖さん

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教えてお仕事

「施設ではなく、実家みたいな場所をつくりたい」そう話してくれたのは、特定非営利活動法人陽和・理事長の渋谷幸靖さんです。陽和が主力として取り組んでいるのは、自立援助ホームと一時保護所の運営です。家庭で虐待を受けた子、家に居場所がない子、親の病気や事情でこれまでの暮らしを続けられなくなった子。そんな子どもたちを受け入れ、社会へ巣立っていくまでを、生活そのものに寄り添いながら支えています。
この仕事の特徴は、ただ“助ける”だけではない点にあります。子どもたちの人生の途中に入り込み、食事を作り、朝は送り出し、時には一緒にゲームをする。家族のように関わりながら、その子がもう一度「誰かを信じてもいい」と思える時間を積み重ねていく仕事です。
そしてもうひとつ、この仕事を特別なものにしているのが、渋谷さん自身の人生です。かつて自分も非行の当事者だったという経験を持つ渋谷さんは、なぜ今、子どもたちの居場所をつくる側に立っているのか。そこには、過去をなかったことにせず、自分の人生ごと誰かの力に変えていこうとする、強い覚悟がありました。


特定非営利活動法人陽和 / 理事長 渋谷幸靖さん
1981年愛知県名古屋市生まれ。過去の経験を経て更生し、社会復帰後は事業活動を行う中で支援の道へ進む。2021年にNPO法人陽和を設立し、自立援助ホームや一時保護所を開設。制度の狭間にいる子どもたちに寄り添い、社会参加を支える伴走型支援を実践している。

職業

自立援助ホーム・一時保護所の支援スタッフ(児童自立生活支援職)

仕事内容

家族で暮らすことが難しくなった子どもや、緊急で保護が必要になった子どもたちの生活を支えるお仕事です。朝は起こして送り出し、夜はご飯を作って話を聞き、時には一緒に買い物やゲームをしながら、子どもたちが少しずつ安心を取り戻し、進学・就職など次の一歩に進めるように寄り添います。いわゆる 「見守るだけ」ではなく、家族に近い距離で関わりながら、その子の自立と社会に出る準備を支えるお仕事です。

法人の概要を教えてください

2021年に法人化しました。前身のNPO法人で約5年間、非行少年の支援や少年院からの受け入れなど、法務省に関わる「自立準備ホーム」の運営に携わり、その後独立して現在の法人を立ち上げました。
現在は、子ども家庭庁に関わる「自立援助ホーム」を運営し、虐待や家庭の事情で養育が難しい子ども、児童養護施設を退所した子どもたちを受け入れ、自立支援を行っています。体制は約30名で、理事4名、正社員5名が在籍しており、今後は夏頃の施設増設に伴い職員数も増やしていく予定です。

お仕事の内容を教えてください

仕事というよりも、趣味の延長のような感覚で取り組んでいます。現在は主に2つの事業所を運営しており、自立援助ホームを2箇所と、名古屋で一時保護所のようなシェルターを1箇所展開しています。制度の狭間にいる子どもたちに寄り添い、伴走型の支援を行いながら、社会とのつながりを築くと同時に、子どもたちと社会をつなぐパイプ役にもなっています。そのほか、講演活動やメディア発信、研修などにも取り組んでいます。
休みはほとんどありませんが、大変だとは感じておらず、「今日はどんな姿が見られるのか」と日々楽しみながら過ごしています。

この取り組みに就こうと思ったきっかけを教えてください

自分自身が非行を経験した当事者だったことが大きなきっかけです。小学5年生から不登校となり、中学時代にはタバコやバイクなどにのめり込み、悪いことをすることで自分の存在価値を見出していました。転機は24歳での逮捕です。留置場で母の姿を見て、自分の未熟さと向き合い、「社会に何かを返したい」と考えるようになりました。
25歳の時、赤いペンで「NPO法人を作る」という目標をノートに書きました。その後、32歳で非行少年支援団体と出会い、ボランティアから関わる中で、かつての自分と重なる子どもたちや保護者の姿に触れ、「同じような子どもや保護者を減らしたい」という思いが強まり、この仕事につながっています。

お仕事のやりがいや魅力は何ですか?

やりがいは、子どもたちの成長に間近で寄り添えることです。24時間関わる中で家族のような関係が生まれ、日々の変化や節目の瞬間に立ち会えることに大きな喜びを感じています。また、巣立った子どもたちが支援する側として戻ってきてくれたり、自ら事業を立ち上げて他の子どもたちを支える存在になってくれたりすることもあります。困ったときに相談してくれる関係が続いていることも含め、人とのご縁はお金では得られない価値だと感じています。
子どもたちと同じ時間を過ごしながら、ともに成長していけることが、この仕事の大きな魅力です。

働く環境について教えてください

「施設らしさ」というイメージをできるだけなくし、実家のような安心できる空間づくりを大切にしています。厳しいルールで縛るのではなく、ちゃぶ台のあるリビングでくつろいだり、ゲームやYouTubeを楽しめたりと、子どもたちにとって居心地の良い環境を整えています。
職員の役割も、いわゆる支援員というより家庭の親に近いものです。早番では子どもたちを起こして送り出し、夜は食事を作るなど、日常生活を共にしながら関わります。宿題を見たり、一緒にゲームをしたりと、家庭の中で当たり前に行われることを大切にしています。また、日中は行政対応や通院の付き添いなども行いながら、一人ひとりに寄り添う支援を続けています。

このお仕事に就くにはどうしたらいいですか?

自立援助ホームで正職員として働くには、児童指導員の資格が必要です。大学で教育学・社会福祉学・心理学などを学んだ場合は卒業と同時に取得でき、高校卒業者は2年、中学卒業者は3年の実務経験を経て取得することが可能です。
ボランティアスタッフも随時受け入れており、それぞれの得意分野を活かしながら子どもたちの支援に関わることができます。多くの人が関わることはとても大切だと思います。大人に苦手意識を持つ子も多い中で、さまざまな人と関わることで「頼ってもいい」と感じられるようになります。地域の方への説明会や交流も行っており、農家の方が野菜を届けてくださったり、餅つきやお祭りに声をかけていただくなど、地域とのつながりが子どもたちの安心につながっています。

お仕事の厳しさや大変なことは何ですか?

すぐに成果が出る仕事ではなく、一週間で仕事を辞めてしまう子もいるなど、失敗の連続に寄り添い続ける覚悟が求められます。ただ、その分、時間をかけて少しずつ成長していく姿に立ち会える喜びがあります。
壮絶な経験をしてきた子が、1年半かけて一人でバスに乗れるようになり、職員が思わず涙する場面もありました。大変さの裏に、大きな喜びがある仕事だと感じています。

子どもの頃の夢を教えてください

小学校低学年の頃は、社長やパイロット、自衛隊員に憧れていました。しかし、小学5年生から不登校になり、中学生の頃には「悪さをしてでも成り上がること」がかっこいいと感じるようになり、悪いことで目立ち、認められようとしていました。
母子家庭で一人で過ごす時間が多く、食事も一人という寂しい環境の中で、「誰かに認めてほしい」という思いが強かったのだと思います。当時の記憶は、どこか自分でも消してしまっている部分があります。

渋谷さんの趣味は何ですか?

一つは子供たちと楽しい時間を共有し、成長を見守っていくことです。もう一つは社会全体に対するアプローチをしていくことを目標としています。
福祉の枠にも入れない、制度の狭間にいる子が多く、支援団体が身銭を切って支援をする現場があります。夜中にたむろしている子や虐待を受けた後の子たちを助ける制度を作りたいと思っています。県や市と協議して子どもたちを助けていきたいという野望があります。

最後に、あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?

私にとっての『ハタラク』とは、「幸せになるための手段」だと思っています。本当に好きな仕事に出会うまでは失敗もありますが、お金のためだけに働くのではなく、やりがいや達成感を得られるかけがえのないものが仕事だと思っています。時間を忘れるくらい仕事が楽しく思えたら、本当の幸せが掴めるのだと思います。
達成したいビジョンは、今以上にもっと子どもたちを受け入れられるように、拠点を増やしたり事業を拡大したりして、関われる子どもを増やしていきたいと考えています。何万人もの困っている子どもに対して、手を差し伸べる大人を増やしていくことも使命であると考えています。


特定非営利活動法人陽和の仕事は、目立つ仕事ではないかもしれません。でも、人の人生の立て直しに真正面から関わる仕事です。一緒に暮らし、信じて、待って、寄り添う。その積み重ねの先で、誰かが初めて1人でバスに乗れるようになる。高校に通い始める。働き始める。やがて誰かを支える側になる。そんな瞬間に立ち会える仕事は、そう多くありません。
もしあなたが、ただ条件で仕事を探すのではなく「誰かの人生に深く関われる仕事がしたい」「人が変わっていく瞬間を近くで見たい」「支援という言葉を、もっと生活に近いところで実感したい」そう思うなら、このお仕事はきっと強く響くはずです。帰ってきたくなる場所をつくること。それは子どもたちのためだけでなく、働く側にとっても、自分の仕事の意味を深く考えられる営みなのだと思います。


【特定非営利活動法人陽和 / 自立援助ホーム 陽和ハウス】

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〒467-0827
愛知県名古屋市瑞穂区下坂町2丁目50-1-201
TEL. 052-893-9899

<陽和ハウス>
愛知県豊田市

URL. https://npohiyori.net
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