【Atelier Kohana】 フォトグラファー 松下智美さん
「こんなふうに撮ってもらったのは初めてです。」写真を受け取った人から、そんな言葉をもらえる瞬間があるそうです。
今回お話を伺ったのは、フォトグラファー・松下智美さん。Atelier Kohanaとして活動し、主に家族写真やプロフィール写真の撮影を行っています。スタジオを持たず、出張撮影を中心に一人ひとりの空気感や表情、その人らしさを丁寧に切り取るお仕事です。元々は、文章で人の生き様を伝えるお仕事に憧れていた松下さん。けれど今は、カメラを通して「その人がまだ知らない魅力」まで映し出そうとしています。
写真を撮ることは、ただシャッターを切ることではありません。誰かの人生に触れ、その人の“今”を未来に残すこと。そんな仕事のリアルと、松下さんがこの道を選んだ理由を聞きました。
Atelire Kohana / フォトグラファー 松下智美さん
1981年神奈川県生まれ。筑波大学卒業後、地域活動や情報誌の営業・編集・撮影を経験し、結婚を機に愛知県豊田市へ移住。写真館勤務を経て、2024年に独立。家族写真やプロフィール撮影を中心に、その人にとって“宝物になる時間”を残すフォトグラファーとして活動している。
職業
フォトグラファー
仕事内容
家族写真やプロフィール写真を中心に、お客様の元へ出向いて撮影を行う仕事です。ただ写真を撮るだけでなく、撮影前の準備、当日のコミュニケーション、撮影後の写真選びや明るさ・色味の調整まで行い、その人らしさが伝わる一枚に仕上げます。「記念を残す仕事」というだけでなく、相手の自然な表情や魅力を引き出し、自信や思い出につながる写真を届ける仕事です。また、「イェイ!写心家®(遺影撮影)」として、今の自分らしさを前向きに残す写真を撮る活動にも取り組んでいます。
独立したきっかけを教えてください
2024年4月に開業し、1年間は写真館に勤めながら個人で活動をしていました。2025年4月から完全独立しました。独立をした理由の一つは、もっと自分自身で写真を撮りたいと思ったからです。もう一つは、家族の病気がきっかけでした。家族を最優先にできる働き方をしたいと思うと同時に、自分が自由に動ける時間がどれくらいあるのか意識した時に「今やりたいことを、後悔のないようにやりたい」という気持ちが大きな後押しになりました。

なぜフォトグラファーになったのですか?
10代の頃から、「人の人生に触れ、その生き様を伝える仕事がしたい」という思いがありました。大学卒業後は山村ボランティアや地域情報紙での取材・執筆に関わる中でカメラに出会い、写真でも人を伝えられることに魅力を感じるようになりました。
趣味で始めた写真も次第に評価され、夢中で続ける中で写真館で学ぶ機会を得て、「これを仕事にしたい」と思い、フォトグラファーの道に進みました。
お仕事の内容を教えてください
フォトグラファーをしています。主に家族写真、プロフィール写真を撮影し、オファーがあれば学校の撮影にも行きます。「イェイ!写心家®(遺影撮影)」の活動に力を入れています。遺影は用意しようとすると「縁起でもない」とネガティブなイメージを持たれがちですが、明るく前向きに自分で写真を選べることや、年代に関係なく、今のベストな自分の姿を残してポジティブに生きていくためのものとして捉えてほしいと考えています。自分の師匠の活動に賛同する形で始めました。

お仕事の魅力ややりがいを教えてください
いっぱいあります!特にやりがいを感じるのは、その人自身もまだ気づいていない魅力を引き出せたときです。ふだんは見えていない表情や一面を写真として切り取ることで、「こんなに素敵なんだ」と伝えられることに、この仕事ならではのおもしろさがあります。
また、ファインダー越しでなくても、日常の景色がきれいに見えるようになったり、写真を撮ることで気持ちが明るくなったり、幸せを感じられることも魅力の一つです。自分の見ている世界を人と共有できることにも新しい感覚や面白さを感じています。
どんな環境で働いていますか?
集客のためにチラシで宣伝したり、紹介をいただくこともあり、撮影に出向きます。
スタジオを構えていないので、出張撮影に行きます。撮影から帰ったら写真を選定してレタッチの作業をします。レタッチは色を調整したり、余計な写り込みを調整したり、より良い写真に仕上げるための工程です。撮影している時間よりも、レタッチの時間の方が長いです。納得いくまで調整したいと思っています。一日の動き方は、依頼によって変わります。
このお仕事に就くためにはどうしたらいいですか?
資格は必要ないので、名乗ればフォトグラファーになれます。ただ、「撮れればいい」というわけではなく、光の読み方や構図、コミュニケーション、仕上げまで幅広い技術が求められます。そのため、足りないものを見つけては学び、また撮る、その繰り返しが大切だと感じています。
フォトグラファーになるための決まった道はなく、専門学校に進む人もいれば現場で学ぶ人もいますが、まずは実際に撮ってみること。続ける中で、自分に必要なことが見えてくると思います。
このお仕事の厳しさや大変なことはどんなことですか?
個人事業主なので、営業も会計もすべてを1人で担わなければならない点です。
フォトグラファーとしての大変さは、シャッターを押すだけの仕事だと思われがちな点です。
1枚の裏に準備や経験、判断、編集、見えない作業の積み重ねなので、そこが伝わりにくいことが難しい部分でもあります。学校での撮影では、数多くのお子さん達がいて、それぞれを主役と思って撮影を行うため、誰一人撮り逃さないという心持ちで望んでいます。やり直しができない現場で手が震えるほどの緊張感と向き合うこともありました。

子どもの頃の夢は何ですか?
小中学生の頃は、学校の先生や舞台役者になりたいと思っていました。高校生の頃は、マスコミを志望しており、地域情報誌などでその地域の素敵な人を紹介し、人の生き様や素敵な笑顔などを伝えられるようなお仕事がしたいと思っていました。その思いは大学を出てすぐの頃の活動につながり、山村ボランティアを経験し、農家さんの手伝いをしながら地域の手書き新聞を発行したり、地元の飲食店の取材をしたりしていました。
趣味を教えてください
カメラが大好きで、趣味でもあります。着物が好きです。着付け師の資格を持っていて、人に着付けることもありますし、ちょっと出かける時に自分でもよく着ています。県内の低山に、友人や家族と登りに行くこともありますよ。愛知県内には新城や春日井、瀬戸の方に魅力的な低山がたくさんあるんです。

最後に、あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?
『楽しいこと』ですね。責任や迷いもありますが、今は心がワクワクすることを仕事として持てていると感じています。自分がいいと思うものを相手にも「いい」と思ってもらえる、その循環の中で仕事が成り立つことはとても幸せです。写真を通して人の自己肯定感を高めていきたいです。家族も自分もお客様も笑っていられる、そんな時間を増やしていくことが、自分にとっての『ハタラク』です。
最近は他のフォトグラファーと一緒に「このまち図鑑」というプロジェクトをスタートさせました。職業や年齢を問わず、このまちを大好きだと思っている人の写真を撮り、夢中になっていることなどを聞いて、素敵な人々の図鑑を作りたいなと思っています。市民活動団体の方とも連携していきたいと考えています。
写真には、不思議な力があります。その人が忘れていた表情を思い出させたり、自分では気づいていなかった魅力を見せてくれたりする力です。松下さんの仕事は、ただ写真を撮ることではありません。家族の時間を未来に残すこと。その人らしさを見つけること。そして、誰かが少しだけ自分を好きになれるきっかけをつくることです。
働き方に正解はないけれど、「誰かを大切にしたい」という思いから働き方を選び、「好き」を磨きながら仕事にしていく姿には、これから仕事を選ぶ人にとって大きなヒントがあるはずです。人の人生に触れ、その人らしさを残す。そんな仕事に少しでも心が動いたなら、フォトグラファーという働き方は、あなたにとって、気になる仕事の一つになるかもしれません。
【Atelier Kohana】
MAIL. atelierkohana.s@gmail.com
Instagram.
<家族や人物の写真>
https://www.instagram.com/atelier_kohana/
<犬の写真>
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<このまち図鑑>
https://www.instagram.com/konomachi.zukan/

