【まるすホールディングス株式会社】取締役 鈴木亜弥さん
まるすホールディングス株式会社は、愛知県刈谷市を拠点に、不動産賃貸業、事務代行業、総合リース業、水耕栽培事業、発送代行事業、ゴルフ小売事業、マンション管理業、製造業など、幅広い事業を展開する企業グループです。一見すると、事業同士のつながりが見えにくいかもしれません。けれど、その背景には、時代の変化に合わせて事業を変え、働く人の未来を考えながら選択を重ねてきた歴史があります。
今回お話を伺った取締役の鈴木亜弥さんは、創業者であるお父様から続く会社に入り、営業職を経て、2017年に経営へ参画。2019年には取締役に就任しました。
年齢、性別、国籍、社歴に関係なく、⼀⼈ひとりの⾏動や挑戦がきちんと評価される会社へ。変⾰を⽬指す会社のこれまでの歩みと、鈴⽊⽒が考える『ハタラク』ことの想いを伺いました。
まるすホールディングス株式会社 / 取締役 鈴木亜弥さん
1986年愛知県刈谷市生まれ。東京女子大学卒業後、家業であるグループ会社に入社し営業を経験。2018年に役員就任後、コアバリューの策定や人事制度改革を推進。2022年にまるすホールディングス株式会社を設立し、グループ経営を強化。2025年には水耕栽培事業を立ち上げ、「仕事を人生と思える環境づくり」を理念に、多角的な事業経営に取り組んでいる。
御社の歴史と概要について教えてください
まるすホールディングス株式会社の始まりは、1990年に設立された有限会社ベルテックにあります。当初は、南米出身の方々を自動車関連工場へ派遣する人材派遣事業からスタートし、その後1992年には有限会社トータルサービスシステムズを設立し、マンション管理事業も開始。2004年には有限会社まるすを設立し、不動産賃貸業へも事業を広げていきました。さらに、グループ会社として株式会社光屋ライティングを設立。こちらは、自動車工場や航空機製造の現場などで使われる、検査専用の照明を製造する会社です。
不動産賃貸業、事務代行業、総合リース業、マンション管理業、製造業。現在ではさらに水耕栽培事業や発送代行業、ゴルフ小売業なども加わり、事業内容は多岐にわたっています。一言でどういう会社かを説明するのは難しいのですが、ひとつの事業だけに固執せず、その時代に必要とされること、働く人にとってより良い選択肢を探しながら、形を変えてきた会社と言えると思います。
私は学生時代に株式会社光屋ライティングへアルバイトとして入社し、その後、営業職として経験を積んだのち、2017年に経営へ参画。2019年には取締役に就任しました。現在の会社規模は、パート社員含む約30名体制で、2拠点で8つの事業を行なっています。

経営に参画してからどのような出来事がありましたか?
2017年に経営へ参画しましたが、私にとって経営参画は、単に立場が変わるということではありませんでした。すでに会社には30年近い歴史があり、その分の雰囲気や文化が積み重なっています。良いところもたくさんある一方で、これまでの慣習の中で、いわゆる「悪しき慣習」となっている部分もありました。
その中で一番最初に思ったのは、「頑張った人が正当に評価される会社にしたい」ということでした。年齢、性別、国籍、社歴に関係なく、頑張った人が頑張っただけ評価される会社。一見当たり前のことなんですが、サラリーマン時代に意外と世の中そうでないことが多いと感じたんです。
そして、その想いを形にするために、私は経営の中で、いくつかの大きな決断をしていくことになります。
会社の変革として行なったことは何ですか?
まず最初に取り組んだことは、今の自社の組織レベルに合った新しい人事考課制度を作ることです。人事考課制度とは、人を「育てる仕組み」だと捉えており、すべての人の公平な評価の土台になると考えました。そこで5つのコアバリューを制定し、そのコアバリューをもとにした「カルチャーフィット評価制度」を導入に踏み切りました。半年に一度、社員は実際に起きた出来事に対して、自分がどう考え、どう判断し、どう行動し、どんな結果になったのかを記述します。その内容が評価され、賞与にも反映されます。
コアバリューには、「本当の自分で冒険しよう」「それぞれの個性を大きなフォースに」といった考え方が含まれています。会社に来る時に、自分を隠さなくていい。仮面をかぶらず、自分のアイデンティティを、遠慮なく発揮する。そしてその個性を互いに受け入れ、活かす。そうした文化が評価制度の中に組み込まれているからこそ、社員は現状に迎合せず、自分の考えをポジティブな形で表現できると考えています。
もうひとつの評価制度が、「コンピテンシー評価」です。これは、部署ごとに会社が求める能力(コンピテンシー)を明確にし、社員一人ひとりが今自分が客観的に見てどの位置にいるのかを可視化する仕組みです。すべての人が同じ強みを持つ必要はなく、また自分でも気づかなかった自分の良いところがどこまで発揮できるのかを知ることができるので、その強みを武器にしながら、次にどこを伸ばせばいいのかを掴んでいく。そのための仕組みです。これらの人事考課制度とともに、給与テーブル、昇級基準、仕組みを回すシステム周りなどを整えることから始めました。
これらの改革には、社内に反発も一部ありました。特に変化を苦手とする一定の層には理解を得るのが難しかったのが正直なところです。一方で、会社の変化に希望を見出す多くの若手社員がいたところもあり、彼らに支えられて今があると思っています。
そして、私が経営の中で行った大きな決断のひとつに、派遣事業部の事業譲渡があります。当時、会社全体の売上約15億円のうち、約10億円を占めていたのが派遣事業部でした。従業員も約250名。まさに会社の主力事業です。
その中で私は、派遣事業に関わる社員たちの未来を第一に考えました。さまざまなビザや国籍の方々が、日本で成長し、生き生きと働き続けられるように支えていくには、あらゆる分野により強みを持つ大きな会社との協力関係があったほうが良い。競争の激しい愛知県では単騎で戦うより豊かな軍であるほうが良い。既存のお客様にも様々なソリューションを提供できるようになる。そう考え、派遣事業部をより大きな会社へ譲渡する判断をしました。
一方で、会社の売上の大部分を占める派遣事業がなくなった時、他の社員たちが不安になるのではないか。そう考え、M&Aと同時に新規事業の立ち上げを進めました。
その新規事業が、水耕栽培事業です。
単なる事業再編ではなく、働く人の未来を考え、残る人の不安にも向き合う。その両方に誠実でありたいという姿勢で取り組んでいます。

会社として大切にしていることは何ですか?
私は、経営者の1番の仕事は「会社を継続させること」と考えています。そのためには「挑戦し続けること」が肝要であると思っています。
継続とは、同じことを続けることではありません。事業の内容は変わらなくても、やり方やサービスの内容は、時代のスピードに合わせて変えていかなければいけないと考えています。だからこそ、「挑戦し続けること」。事業を続けるために変わる。会社を守るために変える。その姿勢が、現在の組織文化の土台になっています。
会社の強みや長所は何ですか?
当社の強みは、「みんな変化に強いところ、個性が強いところ」ですね。
役職者だけではなく、パートスタッフも含めて、現場の一人ひとりが、過去がこうだから、という理由だけで続けるのではなく、今よりもっと良くするにはどうしたらいいかを考える姿勢を持っています。

会社の雰囲気と働き方の工夫について教えてください
「七色」ですね。発送代行には発送代行のカラーがあり、マンション管理にはマンション管理のカラーがある。それぞれの事業部がまったく違う雰囲気を持っています。社員一人ひとりの個性が強く、けれど、それを無理に揃えようとはしていません。むしろ、その違いこそが会社の面白さであり、人財の豊かさだと思っています。
私は、会社を「一人ひとりが自分のアイデンティティを遠慮なく表現できるプラットフォーム」だと捉えています。同じ個性の人は、一人もいません。だからこそ、それぞれの色を掛け合わせたとき、チームは1+1が2ではなく、それ以上の力を出せる。ときには、誰も予想していなかったところまで冒険できる。個性が揃っていないことは、弱さではなく、むしろ会社の推進力なんです。
だから、コミュニケーションもフラットです。入社1日目でも、役員でも、パートさんでも、意見は1意見として同価値です。「誰が言ったかではなく、何を言ったか」で判断します。この考え方が浸透しているからこそ、社員から遠慮のない意見がどんどん出てくる。そして、そこから新しいアイデアやイノベーションが生まれてくるのだと思います。
働き方についても、「会社が何かを与えてあげる」という感覚はあまりないんです。当社は有給取得率も高く、残業も月10時間を超える人はほとんどいませんが、それは「会社が用意した福利厚生」ではなく、社員が自分で選び取っている環境です。会社は、あくまで一人ひとりが力を発揮するためのプラットフォームです。休みたいときは休む。もっと打ち込みたい時はとことん打ち込む。その選択を、会社は妨げません。
社員を採用する際にこだわっている点はありますか?
見ているのは、その人が「自分をどれだけ出せるか」です。完璧さでも、特定のタイプでもありません。逆に、「仕事は淡々と言われたことをこなすだけ、自己主張とかムダ」などと思っている人は当社の文化には合いにくいかもしれません。
正社員として働くと、一日の約3分の1を会社で過ごすことになります。その時間を、給料のためだけに我慢する時間にするのは、あまりにもったいない。社会人として過ごす時間の3分の1を食べるために自分を殺して生きるということですからね。そうでなく、自分の考えをぶつけて、ときに失敗して、また前に進む。その繰り返しの中でこそ、その人らしさが際立っていく。うまくいかないことも当然あります。それを自分の人生の一部と捉えて楽しめる人をたくさん採用したいですね。
趣味や休日の過ごし方について教えてください
趣味は、株式投資とお酒です。なかなか華やかな趣味ではないですね。笑
休日は、予定がなければ家の掃除や片付けをしています。平日は立場上、多くの判断をすることになるので、ルーティンとして、掃除、洗濯、片付けなどを行うことで、頭の中がすっきりして綺麗になり、次の月曜日にはリセットされた状態になる効果を感じています。

最後に、あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?
私にとって『ハタラク』とは、生きることです。
一般的には、ワークライフバランスという言葉がよく使われます。もちろん大切な考え方ですが、私はこの言葉に、少し違和感も持っています。ライフとワークのバランスを取る、という時点で、両方が分かれて、対立するものいう前提になってしまっている気がするのです。
でも、私はそうは思っていません。会社が、一人ひとりのアイデンティティを遠慮なく発揮できるプラットフォームとして機能して、それぞれの個性を掛け合わせて冒険できる場になったなら。働くことは、我慢でも、ライフを削るものでもなく、その人の人生を実現するものになる。ワークとライフは、どちらかを差し出し合うものではなく、両方で人生の幸福を最大化していけるものだと、私は信じています。職業としてではなく、生き方として働く。私にとっての『ハタラク』は、そういう感覚に近いものです。
そして、その考えは会社の未来にもつながっています。
まるすホールディングス株式会社は、これまで外国人雇用に長く携わってきました。日本語が得意ではない人。パソコンが苦手な人。人とのコミュニケーションが得意ではない人。数字が苦手な人。世の中には、働きたい気持ちがあっても、既存の仕事の形に合わずに働きづらさを感じている人がいます。でも、その人にしかない色は、必ずある。事業がひとつではないからこそ、その色が活きる場所も、ひとつではありません。
ある仕事に人が合わせるのではなく、その人の個性が活きる仕事や雇用を生む。違う色を持つ人たちが、それぞれの場所で力を発揮し、掛け合わさって、まだ見ぬ冒険をつくっていく。働くことを、生きることに近づけていく。そのためのプラットフォームであり続けることが、まるすホールディングス株式会社の目指す未来です。
まるすホールディングス株式会社は、一言で説明しやすい会社ではありません。また、その歩みも、決して一直線ではありません。けれど、その複雑さの中にこそ、同社らしさがあります。時代に合わせて変化すること。働く人の未来を考えて、 事業を選び直すこと。年齢や性別、国籍、社歴に関係なく、頑張った人が正当に評価される仕組みをつくること。そして、一人ひとりの個性を消さずに、自分らしく働けるフィールドを整えること。
決められたことだけをこなすより、 自分で考えて動きたい。失敗しても、挑戦できる環境で働きたい。仕事をただの労働時間ではなく、自分の生き方につながる時間にしたい。そんな人にとって、まるすホールディングス株式会社は、きっと面白い場所になるはずです。
【まるすホールディングス株式会社】
〒448-0004
愛知県刈谷市泉田町割田77-1
TEL. 0566-27-7077
URL. https://marshd.jp

