【東亜機械工業株式会社】 代表取締役 後藤威彦さん
フォークリフト。それは街中ではあまり見かけないものの、私たちの生活を確実に支えている“物流の心臓部”のような存在です。今回お話を伺ったのは、名古屋市・大高にある東亜機械工業株式会社、代表取締役・後藤威彦さん。70年の歴史を持つ会社を25歳で突然継ぐことになった後藤さんは“ハタラクことは使命”と言い切ります。なぜその言葉が自然に出てくるのか。その背景には、フォークリフトに人生を重ね、物流の裏側を支え続けてきた物語がありました。機械が好きな人、整備の仕事に興味がある人、誰かの役に立つ仕事がしたい、そんな想いを持つ人にこそ読んでほしいインタビューです。
東亜機械工業株式会社 / 代表取締役 後藤威彦さん
1975年愛知県名古屋市生まれ。駒澤大学経済学部卒業後、ミサワホームイングに入社。父の病を機に家業へ戻り、資金難を乗り越えて再建。2009年に代表取締役就任。輸出中心から国内販売・整備へ事業転換を図る。2023年に病を克服し完全復帰。フォークリフトの販売・整備を通じ、世の中への恩返しをするために、日々感謝を胸に社会へ貢献している。
職業
フォークリフトの販売・整備事業
仕事内容
中古フォークリフトの販売・整備・法定点検(年次検査)を行う仕事。販売だけでなく、新車のようにキレイに整備して届けることや、納品後の定期点検・トラブル対応まで一貫して行う。メーカーを問わず幅広いフォークリフトに対応し、お客様の現場のフォークリフトが止まらないよう、整備工場での作業から出張修理・緊急対応まで包括的に行う。
会社の歴史と概要について教えてください
創業は1955年で、祖父が立ち上げました。当時は機械の販売と、浚渫船(しゅんせつせん)と呼ばれる水中土木工事を行う船の一部を製造する会社だったと聞いています。父の代で建設機械販売に転換しました。
ある時大阪からフォークリフトの仕事をしていた方が来て、事務所の一角を貸して欲しいとお願いされたんです。そこからフォークリフトの販売ノウハウを学び、中古販売、海外輸出事業に参入しました。名古屋では扱う会社がほとんどいなかったことも追い風となりました。まだメールもない時代だったので、写真を撮ってニュースレターみたいにして海外へ送っていたと聞きました。

このお仕事に就くきっかけは何でしたか?
元々はハウスメーカーのリフォーム事業部で働いていたのですが、就職2年目の時に父が急逝し、急遽後を継ぐことになりました。父は継がせるつもりはないと話していたのですが、会社には多額の借金があって廃業できなかったんですね。
そんな状況下で覚悟を決めざるを得ませんでした。右も左もわからない状態で、何より心強かったのは、長年父を支えてきた番頭さんの存在でした。買値の高騰もあり当時の海外マーケットは非常に良く、台数をこなせばなんとかなったので、「やめるのはもったいない、マーケットはまだいける」という思いでフォークリフト販売の道を進み始めました。
お仕事の内容を教えてください
業種は小売と卸売業で、フォークリフトを販売しています。アフターメンテナンスも行っており、修理・点検・年次検査・月次点検が主な内容です。年次検査は車検のようなもので、労働基準監督署の規定に従って行います。
会社規模としては社員数は役員2名、正社員5名、パート1名の8名です。名古屋の一拠点で経営しています。
お仕事の魅力ややりがいは何ですか?
フォークリフトは奥が深いです。最初はフォークリフトの色んなスペックや特徴を見出して、値段をつけて、それが売れるのが面白いと感じました。今は「新車みたい」と言ってもらえる中古車を作るのがやりがいです。2台目、3台目と買ってくださるのが嬉しいです。
うちは売って終わりではなく、修理やメンテナンスでのお付き合いが続きます。故障など緊急対応の現場では、すぐに直しますと駆け付けて、お客様から感謝の言葉をいただける瞬間が最大の喜びです。
働く環境について教えてください
社員さんは整備工場で働いています。自動車整備工場のフォークリフト版ですね。緊急の場合はお客様先に行きます。お客様のお仕事を止めてはいけない、という使命感があります。お仕事が止まると損害が大きいですから。働く時間は8:30から17:30で、残業なしノルマなしを徹底しています。なかなかない職場環境だと言われました。土日の出勤は基本的にありませんが、お客様のために社員が自主的に対応することはあり、強制することはありません。

このお仕事に就くためにはどうしたら良いですか?
自動車整備学校で国家資格を取得すると良いですね。自動車もフォークリフトもタイヤとエンジンが付いているところまで一緒ですから。フォークリフトの整備のような限定的なことは稀ですが、最低限自動車の整備をやっていた人が向いていますね。
最近では、自動車の整備学校も定員割れするような状況で、業界では整備士が足りていないのが現状です。自動車業界の競争が激しい中、フォークリフトはライバルが少ないので、整備技術を持っていると将来性が高くブルーオーシャンだと思っています。
このお仕事の厳しさや大変なことは何ですか?
車と比べて販売台数が少なく、市場が限られるため、必然的に競争が激しくなります。この業界では圧倒的にTOYOTAさんが強いです。TOYOTAさんではフォークリフトを売るのは代理店で、人が多く関わるので、拠点も多いですが金額が高くなります。
うちは累計2万台を超えて、メーカーを問わずにやっているのが強みです。2008年代のリーマンショックでは業界の多くがダメージを受けましたが、在庫を持たずにいたことで相場下落後に安く買い、アジア市場へ良いタイミングで販売でき、生き残ることができました。この経験から卸売中心から小売・整備中心へ方向転換していきました。

子供の頃の夢は何でしたか?
家を建てる仕事がしたかったです。住んでいたマンションが狭かったので、一軒家に憧れがあったんですね。都市部に住んでいると庭付き一戸建てはなかなか難しいですしね。ハウスメーカーに就職できたので、子供の頃の憧れを叶えることができました。
周りに音楽業界の人がいるのもあって、途中で音楽関係の仕事やメディアに興味を持つこともありました。
趣味や休日の過ごし方を教えてください
趣味はゴルフ、音楽鑑賞、古着の収集や売買です。休日はゴルフを楽しんだり、大須に住んでいるので古着屋へ行ったり中古レコードを見に行ったりしています。家の掃除も好きですね。妻とはマルシェに行くこともあります。
娘がいるのですが、習い事の合唱や、勉強に忙しい為、最近は一緒に出掛ける機会が少なく寂しいです。

最後に、あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?
お客様のお仕事を止めないという『使命感』ですね。儲けよりも、命を使ってお客様に対応するというのを年齢と共に感じます。フォークリフトは物流に欠かせない存在であり、それを止めてしまうと社会全体の動きが止まってしまうんです。達成したい会社のビジョンは、愛知から世界へ、人と想いを繋ぎ、夢と希望を運び続ける物流創造企業であり続けることです。物流の縁の下の力持ちとして、世の中に必要とされる存在でありたいです。
70年の歴史、突然の事業継承、そしてリーマンショックという大きな試練を乗り越えながら、小売と整備を軸に独自の道を切り開いてきた東亜機械工業株式会社。その歩みの根底にあるのは、「お客様の仕事を止めない」という強い使命感でした。フォークリフトは、表舞台に立つ存在ではありません。けれど、物流の現場で一台が止まるだけで、多くの仕事が滞ってしまいます。だからこそ後藤さんは、一台一台に責任を持ち、整備と向き合い続けています。必要とされる場所で、必要とされる仕事を、確実に果たす。フォークリフトを通して物流を支えるその姿勢こそが、社会を静かに、そして力強く動かし続けているのだと感じました。
【東亜機械工業株式会社】
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