【NPO法人まほうのらんぷ】 理事長 谷澤雄樹さん
豊田市にあるNPO法人まほうのらんぷは、障がいのある方の「自分らしく生きる」を応援し続ける法人です。『ハタラク』を1人ひとりの人生に寄り添って捉え、利用者さんと地域、そして共に働くスタッフ全員を笑顔にする温かい空気がここにはあります。今回、理事長の谷澤雄樹さんに、活動のはじまりから大切にしてきた想い、そして『ハタラク』の本当の意義まで、たっぷりお話を伺いました。「福祉=難しい」「特別なスキルが必要」というイメージが変わり、こんな環境で働いてみたいと思えるはずです。
特定非営利活動(NPO)法人まほうのらんぷ / 理事長 谷澤雄樹さん
1979年愛知県豊田市生まれ。同朋大学卒業後、とよた市民活動センター勤務と並行して現在の法人の前身にあたる「親の会」でボランティアに参加。豊田市福祉事業団で6年間支援員・相談業務を経験し、2009年に法人を立ち上げ理事長に就任。2010年に事業を開始し「Cafe Musu.B」をOPEN。生活介護事業「はたらくば」や身体障がい者のデイサービス「らぴす」、相談支援事業所を展開し、現在は2026年OPEN予定のグループホーム実現に向け、福祉保健事業の拡充に取り組んでいる。
法人の設立の経緯について教えてください
元々のスタートは、1998年に知的障がいのある子どもたちを育てる7家族が「将来の働く場所をつくりたい」「住まいの選択肢をつくりたい」という想いで集まったことが出発点です。スタート時は私はまだいなくて、翌年6月に託児のボランティアで初めて関わりました。
私たちが法人としてスタートしたのは2009年です。現在はヘルパーステーション・知的障害者の通所施設・身体障害者の通所施設の3つの事業を、2つの拠点を中心に運営しており、従業員は正社員3名、パート14名の17名です。資金的に応援していただいている賛助会員さんが67名いらっしゃいます。
谷澤さん自身はどう関わっていったのですか?
高校時代は病院で相談支援を行う医療ソーシャルワーカーを目指し、大学でも福祉を学んでいました。当時は障がいのある方や高齢者と関わった経験はありませんでした。障がいのある方に対しては正直苦手意識がありました。そんな中、社会福祉士の資格取得のために参加した託児ボランティアで接点ができました。障がい児が、ただ遊んで笑う普通の子どもだと知り、価値観が変わりました。その経験がとても楽しくて、自然と継続して関わるようになりました。この出会いが、福祉の世界で生きていく大きな原点になっています。ただこの時点では、この子たちは「苦しい思いをしてまで働かなくていい存在」だと思っていたんです。

どうお仕事に繋がっていったのでしょうか?
大学4年生の時、障がいのある子はずっと楽しく遊んでいればいいと思っていました。そんな中、小学6年生のダウン症のある男の子の一言で価値観が変わりました。「僕、いらっしゃいませの仕事がしたい」と、飲食店で働くお母さんの姿に憧れて、自分も同じように働きたいと語りました。働くことは本人のニーズなんだと気づいたんです。
ここから託児ボランティアから働く場を作るための構想に意識が変わっていきました。大学を卒業し、市民活動センターでNPO法人の立ち上げの手伝い、福祉事業団などで経験を積み、30歳手前で独立をしました。
お仕事の特徴を教えてください
業種は福祉保健業で、障がいのある方の生活をサポートする事業です。自分らしさを応援しながら生活全般をサポートしています。
知的障害のある方の働く場として生まれた「Cafe Musu.B(カフェむすびー)」は、おむすびを中心とした飲食店として、地域の人々を始めヒトやコトをむすぶ役割を果たします。特に特徴的なのが豊田市こども発達センターのすぐ近くに店舗を構えていることです。温かい場所でありながら親御さんにとっては障がいを告知された辛い記憶の場所にもなります。だからこそ、帰りに明るく働く利用者さんの姿を見ることで、未来への希望が生まれると思うんです。

運営において大事にしていることは何ですか?
まほうのらんぷの母体「親の会」の頃から、「父と母が共に関わる」「第三者に託す」「子どもを自立させる」という3つのこだわりはブレないようにしています。その中で「自分らしくを応援する」という理念のもと、地域のつながりを大切にしています。
株式会社ではなくNPO法人を選んだ理由ですが1つ目は、会社形態だと営利目的という色が強いと思われてしまうということ。2つ目は、地域の人が参画しやすく、一緒に歩んでいける形態だからです。新規事業を立ち上げる時に、地域の人にどんな風に興味を持ってもらおうとか、どんな風に巻き込んでいけるかという考えは、障がい者の生活を守る以上にこだわっています。
会社の強みや長所はなんですか?
福祉福祉していないところです。福祉だからという固定観念を持たないようにしています。
過度に手を出すのではなく、その人の力を最大限に引き出すための“見守る支援”を重視しています。例えば買い物支援では、職員は遠くから見守り、利用者さん自身が商品を選び、レジにむかい、困った時は職員ではなく店員さんに助けてもらうという、地域で自然に行われる関わり方を尊重しています。小さな子やお年寄りがそうするように、障がいがある人も当たり前に地域の中で助け合える。これが普通でいいんです。泣いてパニックになってしまうような状況になったら助けに行きます。

谷澤さんからみた会社の雰囲気を教えてください
明るくて常に利用者さんを楽しませることを考えていますし、チャレンジ精神のある会社だと思っています。すぐに手を出さずに利用者さんを見守るという行動も、その精神がありますよね。誰かが何か楽しいことをしている、利用者さんも含めて明るい会社です。笑いの絶えない場があります。徹底的に、ここに関わってくれた人には幸せになってほしいという想いがありますね。
面接で社員を採用する時のこだわりは何ですか?
福祉の現場には“やってあげたい”思いで来る人が多いのですが、私はその先の「見守れる人」を求めています。理念経営を大切にしており、面接では私が理念をお話しした際の姿勢や目の輝きから、どれだけ共感してくれるかを見ています。働き方は家庭やライフスタイルに合わせて調整可能です。一人ひとりが無理なく働ける環境づくりを大切にしています。
小さな法人だからこそ、形態を変えても末長く働ける法人を目指しています。共感してくれる、価値のある人を大切にしています。

趣味や休日の過ごし方を教えてください
YOGAを10年前からやっています。常にカツカツしているので、力が入っているなと気づく瞬間はあえてYOGAの時間をとっています。週に1回は時間をとっていますね。
休みの日は、午前中はYOGAをして、午後は美味しいものを食べたり昼寝をしたりすることが多いですね。夜は家族と過ごします。皆が個人の時間を大切にしていて、それぞれが好きなことをしていることで安定している家族です。
最後に、あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?
生活の一部でしかありません。でも、働くことで生活がより豊かになり、自分らしく華やかにしていくことで自己実現につながると思います。障がい者は一般企業で働くことが理想とされがちですが、私は必ずしもそうは思いません。一般企業だとどうしても末端の補助的な仕事になりやすいですが、まほうのらんぷの施設であれば「いらっしゃいませ」とお客様の前に立つ第一線で輝くことができ、その人の存在意義や自信につながります。私たちがつくりたい未来は、誰もがやりたいことを大切にしながら、胸を張って働ける社会です。
取材を通して感じたのは、まほうのらんぷが“福祉施設”という枠を越えて、地域と人をつなげる温かなコミュニティであるということ。利用者さんだけでなく、働くスタッフ一人ひとりの人生に寄り添う姿勢が印象的でした。「見守る」「その人の想いを引き出す」という支援の哲学は、私たちにとっても大きな学びとなりました。誰かの“自分らしく生きたい”という思いを応援したい方、働く意味をもう一度見つめ直したい方にとって、まほうのらんぷは新たな働きがいを見つけられる場所です。
【特定非営利活動(NPO)法人 まほうのらんぷ】
〒470-0341
愛知県豊田市上原町上原6-7
TEL. 0565-42-2221
FAX. 0565-45-2225
URL. https://lamp.or.jp
Instagram. https://www.instagram.com/mahou_lamp/

