【株式会社丸小本店】女将 小出朋子さん

Second Thumbnail
インタビュー

明治28年(1895年)に名古屋で創業し、130年の歴史を持つ老舗「株式会社丸小本店」。精肉の卸・販売から、牛肉料理専門のレストラン運営までを一貫して行い、“お肉一筋”で歩み続けてきた企業です。今回お話を伺ったのは、女将として現場を支える小出朋子さ ん。お客様や社員の笑顔を大切にする経営姿勢、そして『ハタラク』ことへの真っ直ぐな想いに触れるインタビューです。


株式会社丸小本店 / 女将 小出朋子さん
1961年愛知県名古屋市生まれ。愛知淑徳短期大学英文科卒業後、日本楽器製造株式会社(現ヤマハ株式会社)に入社。結婚を機に老舗精肉店「丸小本店」に入社し、飲食事業部を支える。約15年間家庭に専念した後、2000年頃より女将として店舗を切り盛り。バブルや狂牛病、コロナ禍など困難を乗り越え、現在も生肉の販売・卸とお肉料理のレストランを通じて、お客様の笑顔を大切にしている。

株式会社丸小本店の歴史と概要について教えてください

名古屋市新栄で、今から130年前に氷問屋として創業しました。冷蔵庫のない時代に氷を扱っていたことから自然と精肉の販売へと発展し、現在は精肉の販売・卸に加え、牛肉料理専門のレストランを運営しています。従業員数は約50名。正社員が20名、パートさんが30名で、レストラン部門15名、販売部門15名、卸・工場部門で20〜25名が働いており、精肉店とレストランは隣接した場所に、工場は別の拠点にあります。夫は4代目の代表取締役でして、私は結婚と同時にこの家業に入り、約40年間現場に立ち続けております。

御社の特徴は何でしょうか?

お肉に特化して、仕入れから加工、販売・提供まで一貫して手がけていることです。販売や卸は牛も豚も両方扱っていますが、レストランは牛肉料理専門店。牛肉一筋でやっております。仕入れの際は特定ブランドにこだわらず、お肉の質にこだわり、社長をはじめ経験ある担当者が“本当にいいもの”を目利きして仕入れています。ただ切るだけではなく、お肉の目や向きを考えて、お料理やお客様の用途に応じたオーダーカットを行っております。

他にはない魅力や工夫を教えてください

美味しいお肉には、どこにも負けない自信があります。「美味しいお肉といえば丸小」と言っていただけるよう努めています。どんなに良いお肉でも、扱い方ひとつで味は大きく変わってしまいますので、現場ではスライスの厚みや肉の繊維の向き、盛り付けに気を配り、技術を大切にしています。またレストランでは、関東風の煮るすき鍋ではなく、“関西風のすき焼き”スタイルを採用しています。お客様の目の前でスタッフが調理する形式で、十分な練習を積み、社内基準に合格したスタッフのみが対応できるという厳しいルールを設けています。

会社運営において大事にしていることは何ですか?

まずは、お客様にご満足いただけることを大切にしています。そのためには、従業員自身がやりがいを持ち、いきいきと働ける環境であることが不可欠です。働く人の気持ちは自然とお客様にも伝わりますので、従業員が前向きに仕事に取り組める職場づくりを心がけています。日常的な声かけ、各部署合同の懇親会、自社のお肉を従業員自身が味わう機会を設けるなど、会社全体での理解と一体感を育んでいます。3つの部署が合同して行うことで、普段のコミュニケーションがスムーズになります。

女将から見た会社の雰囲気を教えてください

社員同士の関係性はとてもアットホームです。部署の垣根を越えて懇親会やカラオケに行くこともあり、なんでも言い合える仲間が集まる職場だと思います。年齢に関係なく、部署を超えた交流が活発です。次期社長となる甥の常務が一人ひとりと丁寧に面談を重ねており、自身も現場に立ちながら、従業員のご家族にも心を配るような風土が根付いていると感じています。

面接で社員を採用するときのこだわりは何ですか?

レストランに限って言えば、笑顔がいい人が第一です。「明るくハキハキとした話し方」「挨拶がしっかりできる」が採用の基準です。お客様との接点が多い仕事だからこそ、雰囲気や第一印象はとても大切だと思っています。髪色や身だしなみにも気をつけています。他部署に関しても同じような観点を持っており、良い会社の雰囲気ができあがっているのも、そのおかげだと思っております。

趣味や休日の過ごし方を教えてください

体を動かすことが好きなので、ダンスを楽しんでいます。ラテンダンスやモダンダンスのほか、娘と一緒に車椅子ダンスも行っています。お休みの日はダンスの練習をすることが多く、一昨年からは山登りも始めました。まだ初心者なので、まずは低い山から少しずつ挑戦しています。とにかく、じっとしていられない性分なんですよね。着物姿の印象からすると、ちょっとイメージとかけ離れているかもしれませんが(笑)。

最後に、『ハタラク』ことの意味についてお聞かせください

生きることそのもの、そして生きがいですね。仕事があるからこそ、元気でいられるのだと思っています。お店で体を動かしながら、お客様に喜んでいただける。そんな接客の仕事は、私にとってまさに天職です。
目の前でお客様が「美味しい」と笑顔になってくださる瞬間が、本当に幸せで、やりがいを感じるひとときです。そうした経験の一つひとつが、私の大きなモチベーションになっています。私たちの仕事は、食を通じて“幸せ”をお届けすることなのだと、いつも実感しています。


株式会社丸小本店は、130年という歴史の中で、お肉に対するまっすぐな姿勢と、人と人とのつながりを大切にしてきた会社です。
女将・小出朋子さんの明るく朗らかな人柄と、「人の笑顔をつくること」への誇りが、丸小本店の雰囲気を象徴していました。
働くことが“生きがい”になる場所。そんな職場を求める人にとって、ここはきっと特別な場所になるはずです。


【株式会社丸小本店】

〒460-0005
愛知県名古屋市中区東桜2-18-24 サンマルコビル1F
TEL. 052-931-4550
FAX. 052-931-1829
URL. https://www.h-maruko.co.jp