【司法書士法人せと事務所】 代表司法書士 尾張由晃さん
「法律の仕事」と聞くと、難しそう、堅そう、自分には遠い世界かもしれない。そんなイメージを持つ人も少なくありません。
けれど今回お話を伺った、司法書士法人せと事務所・代表司法書士の尾張由晃さんは、いい意味でそのイメージを裏切ってくれました。「なんとなく始めて、なんとなく司法書士になった」と笑いながら話す尾張さん。しかしその言葉の奥には、家族の相続での苦い経験や、困っている人を助けたいという実感、そして『ハタラク』こと、そのものへの独自の哲学がありました。不動産登記、商業登記、相続手続きなどを手がける司法書士の仕事は、派手ではないかもしれません。けれど、誰かの人生の節目を支え、「助かった」と言ってもらえる、確かな価値のある仕事です。今回は、尾張さんがなぜ司法書士の道に進んだのか、この仕事のやりがいや厳しさ、そしてハタラクことの意味について伺いました。
司法書士法人せと事務所 / 代表司法書士 尾張由晃さん
1983年三重県鵜殿村生まれ。さまざまな職を経て資格取得を志し、2013年に司法書士資格を取得。事務所勤務を経て、2015年に共同代表として独立開業。名古屋を拠点に司法書士業を営み、地域に根ざした法務支援を通じて、人や企業に寄り添う活動を続けている。
職業
司法書士
仕事内容
家や土地の名義変更、会社をつくるときの手続き、相続の手続きなど、人生や仕事の大事 な場面で必要になる “法律の手続き” をサポートする仕事です。たとえば、家を買ったとき・親から土地を引き継ぐとき・会社を設立するときなどに、必要な書類を整えたり、役所や法務局に出す手続きを進めたりします。司法書士法人せと事務所では、特に不動産登記・会社の登記・相続手続きを多く扱っており、「何から始めればいいかわからない」というお客様に対して、手続きの流れをわかりやすく説明しながら、一つずつ前に進めていく役割を担っています。つまり司法書士は、法律の知識を使って、困っている人の不安を整理し、安心して次の一歩を踏み出せるよう支える仕事です。
どういった経緯で司法書士になったのですか?
司法書士法人せと事務所は、2015年6月に創業しました。社員数は6名で大阪と名古屋の二拠点で展開しています。
私は別の会社でサラリーマンをしていましたが、何か資格を取ろうと思い、なんとなく士業を選びました。受験資格が不要な士業資格の中で最も難易度が高いのが司法書士で、「食いっぱぐれないならそれかな」と実用的な感覚から勉強を始めました。「なんとなく」の軸になっている原体験があります。20代で父親を亡くした際に相続の手続きの中で家族が揉める場面を経験しました。送られてきた書類に印鑑を押しながら、「これは嫌な体験だな」と感じた記憶が今でも強く残っています。相続は、大切な人を亡くした直後に向き合わなければならない手続きです。感情や家族関係が絡むことで、ただの事務作業では済まなくなることもある。もっとうまくできるはずだという感覚が、相続の現場に向き合う原点になっています。

お仕事の特徴について教えてください
司法書士事務所の主な業務として、不動産登記と法人登記の二本柱があります。いずれも司法書士の独占業務です。140万円以下の簡易裁判手続き、相続手続き、最近増えているのが成年後見制度に関する手続きです。私たちの事務所では成年後見は扱っておらず、不動産登記5割、相続2割、商業登記3割で担っています。昔ながらの仕事をしていますね。不動産登記は月末の午前中に仕事が重なるので、とても忙しいです。相続の仕事では、しんどいことも多いですが、困っている人を助けられると心から感謝されることが多いのでやりがいがあります。
働く環境について教えてください
今までは、法務局に戸籍や登記謄本を取りに行ったり銀行に行ったり動き回ることが多かったのですが、その仕事を担ってくれる社員さんが入社したので、書類を作ったり面談に力を入れたりすることができるようになりました。お客様にお会いできる時間が増え、顧客ファーストで動くことができるので非常に助かっています。
不動産登記も商業登記も愛知県が中心ですが、書類はリモートでも作成できるので、やろうと思えばどこでも仕事ができます。

お仕事の魅力ややりがいは何ですか?
仕事を効率化することで高収入を目指せることに魅力を感じています。私は司法書士の仕事を「平和産業」だと考えています。感情的な対立が激しくなりすぎた場面では、 司法書士が対応できる範囲を超えることもあります。 弁護士のように一方の立場に立って争うのではなく、つまり司法書士は「争うための仕事」ではなく、「整えるための仕事」です。 揉め事を大きくするのではなく、中立的な立場で手続きを整え、そこを通じて物事を前に進める役割です。人と人の間に入り、関係を壊すのではなく整理していく、その立ち位置にやりがいを感じています。
このお仕事に就くためにはどうしたらいいですか?
司法書士試験に合格し資格を取得したら誰でもなれます。学歴も経歴も関係ありません。同じ職種でも業種に幅が広いため、一概にこういう人が向いているとは表しにくいですね。
成年後見を扱う所は社会福祉協議会やケアマネージャーさんと一緒に介護職のような働き方をしていく方もいらっしゃるし、裁判手続きでは弁護士のようにバチバチ戦っていきたい方もいらっしゃいます。最近ではスタートアップ企業の法律部門をメインでやっている方もいます。自分の性格に合わせてやりたい業務を選んでいけば、幅広い人に適正があるんじゃないかと思います。同業で食べていけなくて事務所を閉めた、という話は聞いたことがないですね。
このお仕事の厳しさや大変なことは何ですか?
間違わない、正確であることがデフォルトな世界ということです。不動産登記が顕著なのですが、司法書士は、名義変更の際に買主に対して「代金を振り込んで大丈夫です」と指示を出す役割なのですが、書類が足りなかったり人が違っていたりして、お金を払ったのに不動産が自分のものにならなかった時には司法書士の責任になり、損害賠償が発生した事例が過去にあります。
大きな責任があるので、最初は不安だったような気もしますが、11年経って慣れてきました。不動産登記は年間約200件の取り扱いがあります。

子どもの頃の夢について教えてください
子どもの頃からふざけることが好きで、お笑い芸人になることが夢でした。高校卒業後、NSCに入ったのですが、うまく馴染めず辞めてしまいました。その後フリーターをしたり、ファッションの専門学校に入ったりして迷走していましたね。司法書士をやりながらでも「ふざけながら生きれるってめっちゃいいじゃん」というマインドは今もあります。
趣味や休日の過ごし方について教えてください
特にこれといった趣味はありません。革靴磨きにハマっていた時期がありました。革靴作り教室に通っていたこともあるんですよ。
休日はずっと子どもと過ごしています。公園やショッピングモール、サイクリングなど子ども中心に過ごしています。子どもを置いて出かけるということがないですね。遠方のお客様に会いに行きがてら、旅行に行くこともありますね。

あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?
ただ時間を切り売りすることではなく、工夫によってみんなの幸せを増やしていくことです。会社員として働いていた頃は、時間をお金に変えるだけという感覚が強かったですが、自分で事務所を運営していくようになって、自分の裁量で収益を上げて従業員や家族に還元することができるようになったと思っています。
司法書士という仕事は、表から見る以上に人に近い仕事です。不動産や会社、相続など、人生の大事な節目に関わりながら、不安を整理し、手続きを進め、前に進むための土台をつくっていく。その中で求められるのは、法律の知識だけではありません。正確さ、責任感、そして人のしんどさに向き合う姿勢です。
尾張さんの話から見えてきたのは、特別なエリートだけが進める仕事ではないこと、遠回りや迷いがあっても自分の道にしていけること、そして働くことは我慢ではなく工夫によって人を幸せにできる営みであるということでした。もしあなたが「人の役に立つ仕事がしたい」「専門性を身につけたい」「でもただ堅いだけの仕事は違う気がする」そんな思いを持っているなら、司法書士という仕事は、思っている以上に面白い選択肢かもしれません。誰かの“困った”を確かな知識で支える。そしてその先で「助かった」と言ってもらえる。ここには、そんな働きがいのある仕事があります。
【司法書士法人せと事務所】
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