【トヨタ自動車株式会社】主幹 中島幹夫さん

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教えてお仕事

世界中の道を走り、人々の暮らしを支える“クルマ”。その一台一台の「外観」を形づくる仕事があることをあなたは知っていますか?トヨタ自動車株式会社 主幹・中島幹夫さんは、27年間に渡り“ボデー設計”という中心的な仕事に向き合い続けてきたベテランです。幼い頃からものづくりに惹かれ、夢中でロボットを作っていた少年時代。やがて「社会に大きな影響を与える設計がしたい」とトヨタ自動車株式会社へ。しかし、中島さんのキャリアは、“車をつくる”という枠だけに留まらず、40代で出会ったのは「プロボノ」という社会貢献の形でした。一見まったく違うように見える2つの軸が、中島さんの『ハタラク』意味を大きく変えていきました。


トヨタ自動車株式会社 / 主幹 中島幹夫さん
1972年福岡県大牟田市生まれ。九州大学大学院修了後、トヨタ自動車株式会社に入社し、ボデー設計部で27年間車両外観の設計開発に従事。ベルギー赴任を経て、カローラやRAV4、ハリアーの設計に携わる。近年は車いすの送迎ボランティア活動を経て、会社で立ち上がった「TOYOTAのプロボノ」に参加し、現在は事務局として活動をしている。今後は定年後の人たちを巻き込んだプロボノ活動にも注力し、技術で地域と世代をつなぐ取り組みを進めていく。

職業

自動車メーカー勤務
ボデー設計/車両開発エンジニア

仕事内容

クルマの「見た目」と「安全性」をつくる “外観デザインの設計者”として、新しい車の開発に深く関わる仕事。自動車に乗る人の姿勢・視界・安全性などを基準に、クルマ全体の形をつくりあげる設計業務です。
デザイナーが描いたスケッチを“実際に作れる形”へ落とし込み、実寸大モデルでの検討、販売・製造部門との調整、最終デザインの決定まで、新車開発の初期段階から量産まで一貫して関わります。
新人時代はガソリンキャップなど小さな部品を担当しますが、経験を積むと車両前方・側面など大きな領域を担当し、最終的には 車全体の外観バランスを統括する役割へ広がっていきます。街中で自分が設計した部品が使われているのを見られる“実感”が大きい、車づくりの中でも花形ポジションの仕事です。

貴方の経歴と御社の概要を教えてください

私は1998年にトヨタ自動車株式会社へ入社し、現在27年目を迎えています。大学院卒業後、新卒で入社し、希望通りボデー設計部門に配属されました。
トヨタ自動車は車の開発、製造、販売を中心に、マリン事業やロボット事業なども展開しています。特徴として、世界各地に工場を設け、その地域に合った車を提供しています。国内従業員は約7万人、全世界では約38万人が働いており、拠点は数え切れないほど多いです。

入社の経緯と仕事の内容を教えてください

子供の頃からものづくりが好きで、大学では航空宇宙工学を専攻しました。地元の九州では設計開発の仕事が少なく、環境問題に貢献したいという思いからトヨタ自動車に入社しました。実は学生時代にアメフトに熱中しすぎて航空業界に行ける成績ではなかったのもあるのですが、航空業界は日本では全体の飛行機を作れる機会が限られており、車の方が全体を設計できる点も魅力でした。
仕事の内容としては、ボデー設計部門で車両の開発を行なっています。
市場調査から始まり、商品企画、デザイン、開発決定、設計、試作、評価、生産準備を経て完成に至ります。 デザインが決まるまでに1~2年、その後の開発に2~3年かかることもあります。ボデー設計は車の外観に関わるため、開発の早い段階から関わることができる職種であり、全体を網羅できる「花形」のポジションです。新人の頃は車の一部分から担当し、キャリアを積むにつれて全体に関わるようになります。

職場環境と働き方について教えてください

職場は広いオフィスで、各机に3D作図用のコンピューターが置かれています。フロアの近くには実際のボディーや部品が置かれており、実物を見ながら設計ができる環境です。部署だけでも300人が所属し、技術部全体では約1万人が働いています。
勤務時間は基本的に8時半から始まり、忙しい時は夜9時や10時まで働くこともありますね。フレックスタイム制を活用している社員もいますが、私は管理職のため裁量労働制となっています。
この仕事に就くためには、設計や開発部門では大学で理工学の基礎を学び、その中で専門分野を持ち「それをどのように仕事に生かすか」、「この仕事を通じてどのように世の中の役に立ちたいか」という大きな視点を持つことが大切です。

プロボノ活動について教えてください

どんなに入念に開発しても市場で不具合が発生してしまったり、長年同じ環境で働くと、自分が役に立っているのか、成長できているのかという疑問を感じることがあります。職場では同じようなスキルを持つ人たちに囲まれているため、自分の特徴や強みが見えにくくなってしまうのです。
私自身もそういう時期があり、40代の前半から車椅子の送迎ボランティアを始め、プロボノ活動に取り組んでいます。地域社会に出ると、会社では当たり前のスキルが重宝され、新たな成長のフィールドが広がるのです。
プロボノとは「職業などのスキルを生かした社会貢献」のことで、元々はアメリカの弁護士による無償の法律サービスから始まったものです。日本では事務系のプロボノが大半で、ものづくりのプロボノはほとんど存在していません。ものづくりの国である日本なのに、ものづくり系のプロボノが少ないのは残念です。地域社会に出たい人の活躍の場がないと感じ、私は商品開発などのものづくり系のプロボノを提案し発信することで、そうした活動を広めたいと考えています。

趣味と休日の過ごし方について教えてください

趣味は短距離走で、中学・高校時代は陸上部に所属し、現在も100m走でマスターズ大会に出場しています。また、50歳を過ぎてから「おいでんおどり」を始め、様々な年代の人と一緒に目標に向かう楽しさを感じています。ものづくりも趣味の一つですね。
休日は地域活動に積極的に参加し、車椅子送迎ボランティアや「TOYOTAのプロボノ」イベントなどを行っています。自由な時間があれば陸上の練習やMT車でのドライブ、一人カラオケなどを楽しんでいます。

最後に、あなたにとって『ハタラク』とは何でしょうか?

私にとっての『ハタラク』とは、最終的には「社会・誰かのために貢献する事」 です。ただし、その意義は人生の段階によって変化していき、最初はお金のため、次に自分のスキルアップのため、その次はキャリアアップや出世のためと変わっていきました。
現在は「プロボノが当たり前の世の中にする」というビジョンを持ち、地域で助け合える社会の実現を目指しています。プロボノ活動は地域の人々を助けるだけでなく、参加する社員のメンタルヘルスにも良い影響を与え、本業の仕事にもプラスになっていると思います。


中島さんの話を聞いていると、働くことは単に会社で成果を出すだけではなく、社会の中で“自分がどう生きるか”を問う行為なのだと感じました。「クルマをつくること」、「地域の人を助けること」、「誰かの笑顔をつくること」、そのすべてが『ハタラク』につながっています。大切なのは、“自分の軸”をひとつに絞り込むことではなく、いくつでも軸を持っていい、ということ。そして、その軸は働くうちに変わっていく。
中島さんのように、「自分のスキルが誰かの役に立つ場所」を見つけたとき、きっと“働く意味”は大きく形を変えていくはずです。


【トヨタ自動車株式会社】

〒471-8571
愛知県豊田市トヨタ町1番地
TEL. 0565-28-2121
URL. https://toyota.jp

<お問い合わせ>
MAIL. mmrsnaka3788@gmail.com

<インタビュー動画>
YOUTUBE. https://youtu.be/UBFOQO1Z0f0?si=nbwK5ocQwe0rv75W